SESは正社員になれるか 自社開発企業への転職タイミングと判断基準

SESで働いていると、求人票に正社員と書かれているのに本当に正社員なのか分からなくなることがあります。結論として、客先に常駐していても雇用契約上は正社員のままであることが一般的で、正社員かどうかと客先常駐かどうかは別の軸で考える問題です。この記事では、SESの正社員という仕組みの整理、求人で確認すべき点、自社開発企業への転職に適したタイミングの目安、転職時に問われる準備までをまとめて解説します。

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SESの雇用形態や自社開発企業への転職に関する競合記事、厚生労働省の労働局資料や雇用動向調査にあたって書いています。労働者派遣法に関する厚生労働省労働局資料と、厚生労働省「令和6年雇用動向調査」を2026年10月13日に確認しました。個人の転職体験談は掲載していません。

SESの正社員とは何か 客先常駐との関係を整理する

SESで働くエンジニアの雇用関係を表すイラスト

SESの正社員とは、SES企業と期間の定めのない雇用契約を結んでいる状態を指します。客先常駐は働く場所の話であり、雇用契約の種類とは別の軸です。正社員として入社したうえで客先へ常駐する形が一般的で、常駐していること自体は正社員であることと矛盾しません。この2つの軸を分けて考えないと、検索しても答えが噛み合わない状態が続きます。

SESは業界用語で雇用形態の名称ではない

SESとはシステムエンジニアリングサービスの略で、ITの技術者を客先に提供する業務形態を指す業界用語です。法律上の雇用形態を表す言葉ではなく、求人票の正社員という表記とは別の情報として扱う必要があります。同じSES企業の求人でも雇用形態が正社員のものと契約社員のものが混在するため、表記は案件ごとに個別に確認しなければなりません。

客先常駐でも雇用主はSES企業のまま変わらない

客先常駐の場合、業務の指揮命令や勤務場所は常駐先の企業から受けますが、給与の支払いや社会保険の手続きを行う雇用主はSES企業のままです。案件の契約期間が終了しても雇用契約そのものは継続し、次の常駐先が決まるまでの待機期間中も給与が支払われる仕組みが一般的です。

この仕組みを理解しておくと、常駐先が変わるたびに雇用そのものが不安定になるわけではないと分かります。不安の正体は雇用契約ではなく、案件ごとに業務内容や評価基準が変わる働き方そのものにあることが多いです。

  • 雇用契約を結んでいる会社名(SES企業)
  • 雇用形態が正社員か契約社員か
  • 給与・社会保険の手続きをどの会社が行うか
  • 常駐先が変わっても雇用契約が続くかどうか
  • 待機期間中の給与の扱い
編集部

SESという言葉に不安定な印象を持つ人もいますが、雇用契約そのものは一般的な正社員と同じ形であることが多いです。不安の正体を分けて考えることが最初の一歩になります。

SES求人の正社員表記で確認しておきたいこと

SES求人の条件を確認するイラスト

SES求人で正社員と書かれていても、働き方は一般的な自社開発企業の正社員と異なることがあります。確認すべきは雇用形態の表記だけでなく、試用期間の条件、配属予定のチームや工程、教育担当の有無です。これらを求人票の段階で確認しておくと、入社後に抱きがちな認識のずれを事前に防げます。面接で質問しにくいと感じても、入社後の働き方を左右する項目なので確認しておく価値があります。

試用期間と雇用形態の条件を確認する

SES企業の求人では試用期間を3か月や6か月に設定している例があり、試用期間中の待遇が本採用後と異なる場合があります。雇用形態が正社員か契約社員かという表記だけでなく、試用期間中の契約形態や社会保険の加入時期もあわせて確認する必要があります。面接で質問しても問題ない内容なので、遠慮せず聞いておきたい点です。

配属予定のチーム・工程・教育担当を確認する

入社前に期待していた仕事と、配属後に得られる経験や条件が食い違うことが、SESで働く人の後悔につながりやすい典型的なパターンです。配属予定のチームや担当する工程、教育担当がいるかどうかを具体的に確認しておくことで、入社後のギャップを減らせます。

未経験社員に経歴の詐称を指示したSES企業の経営者らに対し、東京高裁が元社員への約769万円の賠償を命じた判決も報じられています。すべてのSES企業に当てはまる話ではありませんが、契約内容や業務の実態を入社前に確認する重要性を示す事例です。

⚠️ 注意したい点

正社員という表記だけを見て入社を決めず、配属予定のチームや工程、教育担当の有無を面接で確認してから判断しましょう。

自社開発企業への転職タイミングの目安 経験年数別の考え方

経験年数に応じてキャリアが伸びるイラスト

SESから自社開発企業への転職タイミングは、20代なら実務経験1年以上、30代なら3年以上を目安とする記事が複数の転職支援メディアに共通して見られます。これは公的統計や法律に基づく基準ではなく、各社が独自に示す経験則である点をふまえて参考にする必要があります。年代によって求められる実績の水準が変わるため、年数だけでなく年代も合わせて考えることが大切です。

20代は実務経験1年以上が一つの目安

20代の転職は、将来性や学習意欲を重視するポテンシャル採用の枠で評価されやすい時期です。実務経験1年以上を一つの区切りとする記事が複数あり、基礎的な開発の流れを一通り経験していることが、面接での説明をしやすくする材料になります。経験が浅くても転職自体ができないわけではなく、学習の継続性を示せるかが評価に影響します。

30代は実務経験3年以上と実績の言語化が必須

30代になると20代のようなポテンシャル採用の枠に入りにくくなり、年齢に見合った専門性や実績を具体的に説明できることが求められます。実務経験3年以上を目安とする記事が多く、担当した規模や成果を数字や成果物で示せるかどうかが選考の分かれ目になるとされています。

年代経験年数の目安重視されやすい評価軸
20代実務経験1年以上学習意欲・将来性(ポテンシャル採用)
30代実務経験3年以上担当規模・成果の言語化
  • 基礎的な開発工程を一通り経験しているか
  • 担当した案件の規模や役割を具体的に説明できるか
  • 伸ばしたい技術領域が定まっているか
  • 学習を継続している実績(資格・個人開発など)があるか
  • 年代に見合った実績を数字で示せるか

何年目が動きやすいか プロジェクトの区切りで考える

転職の準備を進める手順を表すイラスト

SESエンジニアの転職では、実務経験3〜4年目が転職市場で動きやすい時期の一つとされています。経験年数という数字だけでなく、現在参画している案件の契約更新のタイミングで動くと、引き継ぎの負担を抑えながら転職活動を進めやすくなります。5年目以降や30代では、担当規模や成果を数字で示せるかが選考の分かれ目になるとされています。

3〜4年目が選択肢の広がる時期とされる理由

3〜4年目は、実務経験の基礎が固まりつつ、まだポテンシャルも評価されやすい時期として、複数の転職エージェントが選択肢の広がる時期と位置づけています。1〜2年目より担当できる業務の幅が広がっている一方、5年目以降ほど即戦力としての実績を厳しく問われにくいという位置づけです。この目安はエージェント各社の経験則であり、統計的な根拠ではありません。

プロジェクトの切れ目(契約更新のタイミング)で動く

SESでは案件ごとに契約期間が定められていることが多く、契約の更新時期は常駐先・SES企業の双方にとって区切りになります。案件の途中で退職を申し出ると引き継ぎの負担が大きくなりやすいため、契約更新のタイミングに合わせて転職活動を進めると、関係者への影響を小さくできます。経験年数の目安と契約の区切りを両方確認し、動く時期を具体的に決めることが大切です。

編集部

年数の目安はあくまで参考値です。契約更新のタイミングと自分の経験年数を重ねて考えると、動く時期が具体的に見えてきます。

SESのまま残る場合と自社開発へ移る場合の違い

2つの選択肢を比較して選ぶイラスト

SESのまま残ることと自社開発企業へ移ることは、どちらが正解というものではなく、専門性の積み上がり方と評価の基準が異なります。SESは複数の現場を経験できる一方、案件ごとに技術が変わるため専門性が一貫して積み上がりにくく、自社開発は長期的に一つのサービスに関わるため専門性を深めやすい傾向があります。どちらを優先したいかで判断の軸が変わります。

専門性の積み上がり方の違い

SESでは案件ごとに使用する技術スタックや担当フェーズが変わるため、幅広い経験を積める反面、特定の技術を継続して深める機会は限られがちです。自社開発企業では一つのサービスを長期的に担当することが多く、同じ技術領域で改善を積み重ねる経験を積みやすいとされています。

評価の基準(案件単価か個人の成果か)の違い

SESでは常駐先から提示される案件単価が売上の基準になりやすく、個人の評価と会社の評価が直接結びつきにくい構造になっている場合があります。自社開発企業では自社サービスの成果に個人の貢献が直接反映されやすく、評価の軸が分かりやすいという違いがあります。どちらが働きやすいかは、個人の志向によって変わります。

比較の軸SESのまま残る場合自社開発へ移る場合
専門性の積み上がり方案件ごとに技術が変わり幅広いが分散しやすい一つのサービスを長期的に担当し深めやすい
評価の基準常駐先の案件単価が基準になりやすい自社サービスの成果が個人評価に反映されやすい
求人の出やすさ未経験歓迎の求人が多く転職しやすい即戦力重視で求人数が少なく難易度が上がりやすい
  • 技術を一つに絞って深めたいか、幅広く経験したいか
  • 自社サービスの成果に直接関わりたいか
  • 未経験からの再挑戦のしやすさを優先するか
  • 転職活動にかけられる準備期間
  • 常駐先を選べる希望が通りやすい環境かどうか

自社開発企業への転職で問われること・準備

職務経歴書を準備するイラスト

自社開発企業への転職では、SESで積んだ経験をどう言語化するかが評価を大きく左右します。担当した工程を細かく分解し、指示された作業をこなしただけでなく自分がどう考えて動いたかを説明できるかが、選考で重視される傾向があります。あわせて、伸ばしたい技術領域を個人開発などで示す準備も評価につながります。技術力そのものより、経験の伝え方を工夫できるかどうかが差になりやすい部分です。

職務経歴書で工程を分解して言語化する

SES出身者の職務経歴書は、担当した案件名を並べるだけになりがちで、何を自分で考えて動いたかが伝わりにくいという指摘があります。テスト担当だったがテスト観点の設計から関わった、のように担当範囲を丁寧に言語化することが評価につながるとされています。

技術の偏りを整理しポートフォリオで補う

案件ごとに技術が変わるSESの経験は、自社開発企業から見ると専門性が定まっていないと受け取られることがあります。伸ばしたい技術領域を一つ定め、個人開発の成果物で実力を示すことで、実務経験の分散を補いやすくなるとされています。すべての自社開発求人で未経験者にポートフォリオが必須かどうかは求人ごとに異なるため、応募先ごとに確認が必要です。

  • 担当した工程ごとに自分の考えで動いた部分を書き出す
  • 伸ばしたい技術領域を一つに絞り込む
  • 個人開発やOSS活動など実務外の成果物を整理する
  • 応募先の求人で未経験者へのポートフォリオ要否を確認する
  • 志望企業のサービス内容と自分の経験の接点を言語化する
💡 ここだけ押さえる

自社開発企業はSESより求人数が少なく即戦力重視の傾向があります。職務経歴書の工程分解と、伸ばしたい技術領域の整理を並行して進めておきましょう。

動くべきサインと様子見でよいサインの判定

転職の判断を見極めるキャリアのイラスト

転職すべきか様子見でよいかは、経験年数だけでなく現在の契約条件や待遇の変化も合わせて判定する必要があります。経験年数の目安(20代1年以上・30代3年以上)、契約更新のタイミング、待機期間中の給与の扱いという3条件を掛け合わせて考えると、様子見でよいか準備を始めるべきかが整理しやすくなります。年数だけで焦って動くより、この3条件で状況を点検するほうが判断の精度が上がります。

動くべきサイン(契約・待遇面)

待機期間が長期化して給与が減額されている、希望する工程に継続して配属されない、契約更新のたびに常駐先が頻繁に変わるといった状態が重なっている場合は、準備を始めるべきサインといえます。経験年数の目安を満たしていて、かつこうした待遇面の変化が見られるときは、動くタイミングが近いと考えられます。

様子見でよいサイン

現在の案件で上流工程に近い経験を積めている、希望する技術領域に関われている場合は、経験年数の目安に届いていなくても今の環境で経験を積み続ける選択肢があります。焦って転職するより、職務経歴書に書ける具体的な経験を積んでから動くほうが、選考で評価されやすくなる場合があります。

状態経験年数の目安待遇・契約の状態判定
目安未達かつ希望の経験が積める20代1年未満・30代3年未満待機なし・希望工程に配属中様子見でよい
目安到達かつ契約更新が近い20代1年以上・30代3年以上契約更新のタイミングが近い準備を始める
目安到達かつ待遇が悪化20代1年以上・30代3年以上待機長期化・給与減額が発生動くべき

この判定表は経験則を整理した目安であり、個別の契約内容や会社の状況によって当てはまり方は変わります。最終的な判断は、自分の状況を複数のエージェントに相談したうえで決めることをおすすめします。

転職活動で確認しておきたい契約形態の基礎知識

開発現場での契約関係を表すイラスト

SESの契約形態には労働者派遣と準委任(または請負)があり、どちらに当たるかで指揮命令の所在が変わります。労働者派遣法第2条第1号では、自己の雇用する労働者を雇用関係の下で、かつ他人の指揮命令を受けてその他人のために従事させることと定義されています。契約の種類を理解しておくと、面接で契約形態を質問された際に正しく答えられます。

労働者派遣と準委任契約の違い

労働者派遣は常駐先の企業が労働者に直接指揮命令を行う契約形態です。一方、準委任契約(民法656条)は成果物の完成を約束せず、業務の遂行自体を目的とする契約で、指揮命令は自社(SES企業)の担当者が行うという建前になっています。どちらの契約かによって、常駐先から直接指示を受けてよい範囲が変わります。

偽装請負に当たるかどうかの見分け方

偽装請負とは、契約の形式が準委任や請負であっても、実態として常駐先が労働者に直接指揮命令を行い労働者派遣と同じ状態になっているものを指します。常駐先の担当者から日々の業務指示を直接受けている場合は、契約形態と実態がずれている可能性があるため、自社の上司や営業担当に相談することが勧められています。

  • 自分の契約が労働者派遣か準委任(請負)かを確認する
  • 日々の業務指示を誰から受けているかを確認する
  • 契約形態と実際の指揮命令がずれていないか確認する
  • 疑問があれば自社の上司や営業担当に相談する
  • 転職活動では現在の契約形態を正確に説明できるようにしておく
編集部

契約形態の基礎知識は、転職の面接で経歴を説明するときにも役立ちます。自分の契約がどちらに当たるか、一度整理しておくとよいでしょう。

よくある質問

SESの正社員と自社開発企業への転職について、検索で多く調べられている質問をまとめました。個別の状況によって事情は変わるため、一般的な考え方としての回答です。統計や調査の数値は今後更新される可能性があるため、実際に確認するときは公表年もあわせて確認してください。以下は2026年10月13日時点で確認した情報にもとづいており、個人の転職体験談は含まれていません。

SESでは正社員になれないのですか

SES企業の求人の多くは正社員として募集されており、客先常駐していても雇用契約上は正社員のままであることが一般的です。正社員になれないという誤解は、雇用契約(正社員かどうか)と業務形態(客先常駐かどうか)という別々の軸を混同していることから生まれやすいと考えられます。ただし同じSES企業でも契約社員として募集している求人もあるため、応募する求人ごとに雇用形態の表記を確認する必要があります。待機期間中の給与の扱いや試用期間の条件もあわせて確認しておくと、入社後の認識のずれを防げます。

SESから自社開発企業への転職は何年目からできますか

経験年数に関わらず転職自体は可能ですが、20代なら実務経験1年以上、30代なら3年以上を目安とする記事が複数の転職支援メディアに共通して見られます。これらは公的統計や法律に基づく基準ではなく、各社が示す経験則である点に注意してください。実務経験3〜4年目は転職市場で動きやすい時期の一つとされていますが、現在の契約更新のタイミングや待遇の変化もあわせて確認し、自分に合った時期を見極めることが大切です。

SESから自社開発企業への転職は難しいですか

自社開発企業は即戦力重視で求人数自体が少ない傾向があるため、SESから自社開発企業への転職は同業種内でのシフトより難易度が高いとされています。ただし難しいと言われる理由の多くは、担当した工程を言語化できていないことや、技術の偏りを整理できていないことにあります。職務経歴書で工程を分解して説明し、伸ばしたい技術領域を個人開発などで示す準備をすることで、難易度を下げられる余地があります。

SESから自社開発企業へ転職すると年収は上がりますか

SESから自社開発企業へ転職した場合の年収差を具体的な金額で示した公的統計は見当たりません。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、2024年に転職した人のうち賃金が前職より増加した割合は40.5%、減少した割合は29.4%だったと公表されていますが、この数値は全産業・全職種を対象にした調査で、SESや自社開発という業態に限定した数値ではありません。年収が上がるとは断定できないため、求人票に記載された給与条件を個別に確認することをおすすめします。

まとめ

SESの正社員は、雇用契約としては一般的な正社員と同じ形であることが多く、客先常駐かどうかとは別の軸で考える必要があります。自社開発企業への転職を検討する場合は、経験年数の目安(20代1年以上・30代3年以上)に加え、契約更新のタイミングや待遇の変化を重ねて判断することが、遠回りをしない転職活動につながります。

本記事では、SESから自社開発企業への転職にともなう年収差など、根拠が確認できない具体的な金額は掲載していません。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」も確認しましたが、SESや自社開発という業態に絞った年収額や求人倍率を示す公的統計は見当たらなかったため、断定的な数字としては記載していません。転職を決める前に、自社の契約形態や待遇の実態を確認したうえで、複数の転職エージェントに相談することをおすすめします。

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