社内SEの年収、中央値はいくらか 統計と各社データの読み方を比較

社内SEの年収を調べると、エージェントや求人メディアごとに数字が大きく異なり、どれを信じればいいか迷う人は少なくありません。本記事で確認した範囲では、社内SEの年収の中央値を示した公的統計は見当たりませんでした。見つかるのはいずれも転職支援各社が独自に集計した平均値です。

この記事では、各社データの母集団と集計時点を明記したうえで年代別の目安を整理します。あわせて、年収が低いと言われる理由と、年収を上げるために検討できる選択肢までまとめます。社内SE転職のエージェント選びや大阪の求人事情は別記事で扱っているため、本記事は年収の数字の読み方に絞って解説します。

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社内SEの年収について、転職エージェント各社の公表データや厚生労働省の統計にあたって書いています。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」を2026年10月14日に確認しました。個人の年収体験談は掲載していません。

社内SEの年収における中央値データの実態

社内SEの年収の伸びを描いたイラスト

中央値とは、データを小さい順に並べたときにちょうど真ん中にくる値のことで、極端に高い数値や低い数値の影響を受けにくい指標です。本記事で確認した範囲では、社内SEの年収の中央値を明記した公的統計は見当たりませんでした。厚生労働省や経済産業省の調査が公表しているのは、いずれも平均値です。平均値は一部の高年収層に引っ張られやすいため、中央値との違いを知らないまま数字だけを見ると実態を見誤ることがあります。

厚労省統計が示すのは平均値

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」は職種別の賃金を公表していますが、結果の概況や解説記事で示されるのは平均の所定内給与や年間賞与です。中央値や十分位数まで含めた詳細表が存在するかは、今回のWebSearchによる調査範囲では確認できませんでした。中央値を重視したい場合は、e-Statで該当年の統計表を直接確認する必要があります。

社内SEという統計区分の不在

そもそも厚生労働省の統計に「社内SE」という職種区分はありません。最も近い区分は「ソフトウェア作成者」で、SEやプログラマーなどを含む広い括りです。社内SEに特化した公的な年収統計を探すこと自体が難しく、転職支援各社の独自データで代用せざるを得ないのが実情です。

  • 厚生労働省の統計に「社内SE」という職種区分は無い
  • 最も近い区分は「ソフトウェア作成者」で対象が広い
  • 公表されているのは平均値で、中央値の記載は確認できなかった
  • 以降で紹介する数字は転職支援各社が集計した平均値である
💡 ここだけ押さえる

社内SEの年収中央値を示す公的統計は見当たりません。以降で紹介する数字はすべて転職支援各社が独自に集計した平均値であり、母集団が異なる点を踏まえて読み進めてください。

転職支援各社による社内SEの年収データの比較

複数の年収データを比較するイラスト

社内SEの年収は、転職支援会社が公表するデータによって大きく幅があります。同じ「社内SE」という言葉でも、求人票に書かれた年収なのか、実際に転職が決まった人の年収なのかで集計対象が違います。まず、どの数字がどの母集団から来ているのかを整理します。数字だけを比べる前に、集計元の違いを押さえておくと誤解を避けやすくなります。

母集団による年収差の理由

ある転職メディアの記事では、求人票に掲載された年収をもとにした集計で384万円前後という数字が紹介されています。一方、ハイクラス転職の支援実績をもとにした集計では826.8万円という数字もあります。前者は企業が求人に書く金額、後者は実際に転職が決まった人の年収という違いがあります。どちらも「社内SEの年収」として語られるため、集計方法の確認が欠かせません。

出典別に見る年収データ一覧

主要な転職支援会社が公表している数字を、母集団と集計方法を添えて並べ直すと、次の表のようになります。同じ社内SEという言葉でも、対象が転職成約者なのか求人掲載データなのかで数字の性格が変わります。

出典年収の目安母集団・集計方法平均か中央値か
JACリクルートメント20代後半613.2万円〜30代後半818.7万円ハイクラス転職の支援実績平均値
マイナビAGENT20代385万円・30代505万円(社内システム企画を含む区分)自社エージェントの登録者・求人データ平均値
ギークリー(Geekly)平均590万円(参考 ITエンジニア全体平均537万円)自社の転職支援データ平均値
求人媒体の掲載データ384万円前後公開求人票に記載された年収の集計平均値(求人提示額ベース)
編集部

同じ「社内SEの年収」でも、求人票ベースか転職成約者ベースかで数字の性格が変わります。見ている数字がどちらなのか確認する癖をつけると、数字に振り回されにくくなります。

社内SEの年収の年代別の目安

年代とともにキャリアが伸びるイラスト

社内SEの年収は年代とともに段階的に上がる傾向があるとされています。ただし20代前半の年収は低く見えやすく、同じ20代でも前半と後半で数字が大きく変わる点には注意が必要です。ここでは、複数社のデータを年代別に並べて傾向を確認します。年代だけでなく、どの会社のどんな層を対象にした数字かも合わせて見ていきます。

20代の年収が低く見える要因

マイナビAGENTのデータでは、社内システム企画・社内SEを含む区分で20代の平均は385万円とされています。一方でJACリクルートメントのハイクラス転職支援実績では、20代後半で613.2万円という数字が示されています。対象が未経験寄りの登録者全体か、転職市場で評価される経験者かによって、同じ20代でも数字の差が大きくなります。

30代以降の年収の伸び方

JACリクルートメントのデータでは、30代前半720.6万円、30代後半818.7万円と年代が上がるごとに伸びる傾向が示されています。マイナビAGENTのデータでも30代平均は505万円で、20代の385万円から100万円以上上がっています。役職や担当範囲が広がるタイミングで年収が伸びやすいと考えられます。

年代JAC(ハイクラス転職支援実績)マイナビAGENT(社内システム企画含む)
20代前半公表データなし345万円(男性)〜482万円(女性)
20代後半613.2万円平均385万円
30代前半720.6万円503万円(男性)〜513万円(女性)
30代後半818.7万円平均505万円
  • 同じ年代でも母集団によって100万円以上差が出ることがある
  • ハイクラス転職支援の実績値は経験者寄りに高く出やすい
  • 20代前半は年収が低く見えても後半で伸びる傾向がある
  • 性別による内訳が公表されているデータもある

社内SEの年収とIT業界平均・統計区分の違い

IT業界で働くエンジニアのイラスト

社内SEの年収を考えるときは、統計上の近い職種区分やIT業界全体の水準と比べておくと位置づけがつかみやすくなります。ここでは厚生労働省の職種別統計と、経済産業省が公表した実態調査を確認します。いずれも「社内SE」という区分そのものではない点に注意してください。区分の違いを知らずに数字だけを比較すると、実態より高く見えたり低く見えたりすることがあります。

ソフトウェア作成者との違い

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の職種別区分で、社内SEに最も近いのは「ソフトウェア作成者」です。労働新聞の報道によると、令和5年調査で男性のソフトウェア作成者の所定内給与(月額)は35.0万円とされています。令和4年調査では34.6万円でした。ソフトウェア作成者にはSEやプログラマーが含まれますが、社内SEだけを切り出した数値ではありません。

システムコンサルタントとの給与差

同じ労働新聞の報道では、令和5年調査で男性のシステムコンサルタント・設計者の所定内給与は44.1万円とされています。ソフトウェア作成者の35.0万円と比べて1.3倍ほど高く、上流工程を担う区分のほうが統計上は高い水準にあります。社内SEの業務内容がどちらの区分に近いかで、参考にする数字も変わってきます。

年度職種区分所定内給与月額(男性)出典
令和4年ソフトウェア作成者34.6万円労働新聞社の報道
令和5年ソフトウェア作成者35.0万円労働新聞社の報道
令和5年システムコンサルタント・設計者44.1万円労働新聞社の報道

参考情報として、経済産業省は平成29年(2017年)に「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」を公表しています。同調査では、新人レベル437.8万円、中堅576万円、チームリーダー726.1万円という数字が紹介されています。社内SEに限定した調査ではなく、約9年前の数値である点を踏まえて参考程度にとどめてください。

⚠️ 注意したい点

経済産業省の実態調査は平成29年(2017年)公表の数値が広く引用されていますが、より新しい同種の公式調査は今回の調査範囲では確認できませんでした。引用する際は時点の古さを踏まえてください。

社内SEの年収が低いと言われる理由

社内SEとして働くエンジニアのイラスト

社内SEの年収は「低い」と言われることがありますが、その多くは特定の条件下の数字を指しています。ここでは、年収が低く見える主な理由を3つに整理します。調査対象や企業規模による違いを押さえておくと、自分の状況に引きつけて判断しやすくなります。漠然と「低い」と感じるより、何と比べて低いのかを具体的にすることが大切です。

企業規模による位置づけの違い

中小企業では情報システム部門の規模が小さく、1人で複数の役割を兼ねる「1人情シス」体制になりやすいとされています。システム部門が独立した利益を生む部署ではなく、管理部門に近い扱いを受けることも評価や昇給に影響しやすい要因です。大企業ほど給与制度や賞与が整っている傾向があるという指摘もあります。

役職・年功に紐づく昇給体系

社内SEの給与体系は、多くの企業で一般的な人事制度に組み込まれており、役職や勤続年数に応じて段階的に上がる仕組みになりやすいとされています。成果に応じた大きな昇給が起きにくく、短期間で年収を上げたい場合は物足りなさを感じることがあります。年代別データで20代の伸びが緩やかに見えるのは、この仕組みも影響していると考えられます。

調査対象の違いによる見え方

前の章で触れたとおり、求人票ベースの集計では384万円前後です。ハイクラス転職の支援実績では826.8万円となり、同じ「社内SEの年収」でも2倍以上の差が出ます。「低い」という印象の多くは、求人票ベースの数字や経験の浅い層を含む全体平均を見たときに生まれやすいと考えられます。

  • 中小企業では1人情シス体制になりやすい
  • システム部門が管理部門寄りに扱われることがある
  • 昇給が役職・勤続年数に紐づきやすい
  • 求人票ベースの数字は経験者実績より低く出やすい
編集部

「社内SEは年収が低い」と感じたときは、比べている数字が求人票ベースか経験者の転職実績かを確認すると、原因がはっきりすることがあります。

社内SEが年収を上げるための選択肢

収入を増やす方法を考えるイラスト

社内SEとして年収を上げる方法は、大きく分けて転職先を変える方法と、今の職場で専門性や職域を広げる方法があります。どちらを選ぶかによって、必要な準備や時間軸が変わります。ここでは3つの方向性を整理します。すぐに転職活動を始める場合も、社内でキャリアを積んでから動く場合も、判断材料として役立ててください。

大手事業会社への転職という選択

IT投資に積極的な業界や、システム規模の大きい大手事業会社では、社内SEの年収水準が高めになりやすいとされています。JACリクルートメントのハイクラス転職支援実績で30代後半818.7万円という数字が出ているのも、こうした層を含むためだと考えられます。求人票の企業規模や資本金、システム部門の人数も合わせて確認すると判断しやすくなります。

クラウド・セキュリティ領域の強化

クラウド移行やセキュリティ対策など、需要の高い領域の実務経験を積むと、社内での評価や転職市場での評価が高まりやすいとされています。資格だけでなく、実際にプロジェクトを担当した経験があるかどうかが重視される傾向があります。普段の業務の中で、こうした領域に関われる機会を探すことも選択肢になります。

マネジメント・企画への職域拡大

システムの保守運用だけでなく、IT戦略の立案や全社的なプロジェクトの統括に関わるようになると、評価される役割の範囲が広がります。役職が上がるほど年収も上がる傾向があるとされますが、具体的な金額は企業差が大きいため断定的な数字は挙げません。面接や社内の評価制度で、どの範囲まで任される役職かを確認することが大切です。

選択肢具体的なアクション確認しておきたいこと
大手事業会社への転職IT投資予算の大きい業界・企業を探す求人票の企業規模や資本金の記載
専門性を伸ばすクラウド・セキュリティ領域の実務経験を積む資格だけでなく実務経験の有無
職域を広げるIT戦略立案やプロジェクト全体の統括を担当するマネジメント経験を具体的に説明できるか
  • 求人票の企業規模・資本金を確認する
  • クラウドやセキュリティの実務経験を積む
  • IT戦略立案やプロジェクト統括の経験を増やす
  • 転職と社内異動のどちらが早いかを比較する
編集部

年収を上げる方法は1つではありません。転職と社内での職域拡大を両方の選択肢として並べ、自分に合う時間軸で考えてみてください。

社内SEの年収データを確認するときのポイント

年収データを確認するチェックリストのイラスト

ここまで見た社内SEの年収データは、出典によって数字が大きく異なります。最後に、年収データを見るときに確認しておきたいポイントをチェックリストとして整理します。自分の状況に近いデータを選ぶ基準としても使えます。チェックリストに沿って見直すだけで、数字を鵜呑みにするリスクを減らせます。転職するかどうかを決める前に、一度手を止めて確認しておきたい項目です。

数字を見る前の3つの前提

年収の数字を見るときは、平均値か中央値か、母集団は求人票か転職成約者か、集計時点はいつかという3点を確認する必要があります。この3点が揃っていない数字は、他のデータと単純に比較できません。本記事で紹介した数字も、この3点を表に明記しています。

自分に近いデータを選ぶ基準

数字を参考にするときは、自分の年代、現在の企業規模、志望する業界に近いデータを優先して選ぶと実態に近づきます。転職を考えている場合は、平均値よりも自分と似た経歴の人が実際に転職した実績値のほうが参考になりやすいでしょう。複数のデータを比べ、幅を持たせて捉えることも大切です。

  • 平均値か中央値かを確認する
  • 母集団が求人票ベースか転職成約者ベースかを確認する
  • 集計された年や時期を確認する
  • 自分の年代・企業規模・業界に近いデータを優先する
  • 1つの数字だけで判断せず複数のデータの幅を見る
💡 ここだけ押さえる

年収データは「誰を対象に、いつ、何を集計したか」を確認するだけで、信頼度の見分け方が大きく変わります。数字そのものより、この3点をセットで見る習慣をつけましょう。

よくある質問

社内SEの年収について、検索で多く調べられている質問をまとめました。統計やデータは時点によって数字が変わるため、実際に確認する際は公表年を確認してください。以下は2026年10月14日時点で確認した情報にもとづいています。個別の企業や状況によって事情は変わるため、一般的な考え方としての回答である点をご了承ください。

社内SEの年収の中央値はどこで確認できますか

本記事で確認した範囲では、社内SEの年収の中央値を明記した公的統計は見当たりませんでした。厚生労働省の賃金構造基本統計調査は職種別の平均値を公表していますが、社内SEという区分自体が存在しません。最も近い区分は「ソフトウェア作成者」です。中央値を詳しく調べたい場合は、e-Statで該当年の統計表を直接確認する必要があります。

社内SEの年収は20代でどれくらいですか

転職支援各社のデータでは、20代の社内SEの年収は345万円から613万円程度まで幅があります。マイナビAGENTのデータでは20代平均385万円、JACリクルートメントのハイクラス転職支援実績では20代後半613.2万円とされています。対象が登録者全体か経験者の転職実績かによって数字が変わる点に注意してください。

社内SEの年収はIT業界平均より高いですか低いですか

ギークリーが公表するデータでは、社内SEの平均年収は約590万円で、ITエンジニア全体の平均537万円より高いとされています。一方で求人票ベースの集計では384万円前後という数字もあり、比較する対象によって結論は変わります。1つのデータだけで高い低いと判断しない方が無難です。

社内SEが年収を上げる一番早い方法は何ですか

一番早い方法を断定することはできませんが、IT投資に積極的な大手事業会社への転職は選択肢の1つです。年収水準が上がりやすいと紹介されることが多いようです。クラウドやセキュリティなど需要の高い専門性を伸ばす方法や、マネジメント・企画へ職域を広げる方法も選択肢になります。自分の時間軸や希望に合わせて組み合わせを考えることをおすすめします。

まとめ

社内SEの年収の中央値を明記した公的統計は見当たらず、確認できるのは転職支援各社が独自に集計した平均値です。母集団が求人票ベースか転職成約者ベースかで数字は2倍以上変わることがあるため、出典と集計方法をセットで確認する習慣が欠かせません。統計上の区分も「社内SE」ではなく「ソフトウェア作成者」である点を、あわせて覚えておいてください。

年代別では20代で345万円から613万円、30代で500万円台から800万円台まで幅があります。年収を上げる方法としては、大手事業会社への転職、専門性の強化、職域の拡大という3つの方向性が考えられます。本記事で紹介した数字は出典を明記しており、根拠が確認できない金額は掲載していません。

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