地方在住エンジニアの転職 求人が少ない理由とリモート・移住の選択肢

「地方在住のままエンジニアとして転職したいが、求人が少ない」と感じて検索している人は多いはずです。地方の求人が少なく見える背景には受託開発中心の案件構成とスキルのオーバースペック化があり、その一方でフルリモート転職・地方拠点企業への転職・移住支援金を使ったUIターン転職という3つの選択肢があります。この記事では公的統計で地域差を検証したうえで、3つの選択肢を年収への影響と見分け方まで整理します。

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エンジニア転職ラボ編集部IT・エンジニア転職の解説メディア

地方エンジニアの転職事情について、国土交通省のテレワーク人口実態調査、内閣府の移住支援金の公式情報、人材紹介会社の解説記事、知恵袋や5chの声を確認して書いています。エンジニア職種に限定した都道府県別の年収統計は一次資料から確認できなかったことを2026年10月23日に確認しました。個人の転職体験談は掲載していません。

地方でエンジニアの求人が少ないと言われる理由

地方の開発現場で働くエンジニアの働き方を表すイラスト

地方でエンジニアの求人が少なく感じられる理由は、人材紹介会社の解説記事を横断すると大きく2系統に分かれます。既存システムの改修を中心とした受託開発が多く大規模案件が少ないという案件構成の問題と、スキルの高い人材が求人に対して過剰に見られてしまう構造の問題です。どちらも感情論ではなく構造的な背景があるため、順番に確認していきます。

受託開発中心で大型案件が少ない事情

地方のIT企業は、自治体や地元企業からの受託開発・保守を主力事業にしているケースが多く見られます。開発予算が限られ、既存システムがすでに構築済みであることも多いため、新規の大規模開発案件が都市部に比べて少なくなりやすいと指摘されています。システムが古くリモート対応が難しい企業もあり、正社員は客先や自社オフィスへの常駐を前提とすることが多いとされます。

スキルが高いほど「オーバースペック」と見なされやすい求人構造

都市部で経験を積んだエンジニアが地方企業に応募すると、求人側が想定する業務規模に対してスキルが過剰だと判断されることがあります。IT専門メディアの体験談連載でも、希望条件に合う案件自体が地域に少ないうえ、高いスキルがかえって不採用の理由になった事例が紹介されています。この傾向は選考基準が明文化されていないことが多く、応募前に見分けるのが難しい点でもあります。

  • 既存システムの改修・保守が中心で新規の大規模開発案件が少ない
  • 開発予算が限られ案件の単価が上がりにくい
  • 経験が豊富すぎるとオーバースペックと見なされることがある
  • 正社員の求人は客先や自社への常駐を前提にすることが多い
  • 地元で働きたい企業・職種が本人の希望と一致しないことがある
求人が少なく見える要因背景当てはまりにくいケース
案件規模の小ささ受託開発・保守が中心で開発予算が限られやすいニアショア拠点として上流工程を担う企業
オーバースペック判定求人側が想定する業務規模に対しスキルが過剰に見える自社開発やDX推進を掲げ高度人材を求める企業
常駐前提の働き方システムが古くリモート対応が難しい企業があるフルリモート求人や地域限定正社員制度のある企業
編集部

「地方だから求人が少ない」と一括りにする前に、案件規模とスキルのかみ合わせという2つの軸で原因を分けて考えると、次に紹介する3つの選択肢のどれが自分に合うか判断しやすくなります。

地方在住のままフルリモートで転職する方法

フルリモート求人を探す手順を表すイラスト

移住せずに地方在住のまま転職する方法として最も選ばれやすいのが、都市部の企業にフルリモートで雇用される働き方です。求人サイトで「フルリモート」「地方在住可」「勤務地全国」といった条件を絞り込み、掲載日と応募可否を個別に確認することが基本的な探し方になります。雇用形態がSESや派遣中心の案件か、自社開発の正社員かによって働き方の裁量が変わる点も確認してください。

フルリモート求人の探し方と見分け方

求人票の「リモート可」という表記には、完全在宅から月数回の出社が必要な形態まで幅があります。面接で出社の頻度や評価制度がリモート勤務者に不利にならないかを具体的に質問すると、入社後のギャップを避けやすくなります。未経験からの転職でエージェントを使う場合の基本的な進め方は未経験エンジニアの転職エージェント活用法を解説した記事で確認できます。

テレワーク導入率の地域差という公的データ

「地方はリモートワークが普及していない」という感覚は、公的統計でもある程度裏付けられます。国土交通省の令和6年度テレワーク人口実態調査では、雇用型テレワーカーの割合が首都圏37.5%に対し地方都市圏は16.8%で、約20ポイントの差があります。この数字は業種を問わない就業者全体の調査であり、エンジニアだけを抽出した数字ではない点に注意が必要です。

  • 「フルリモート」の表記が完全在宅か月数回出社かを求人票で確認する
  • 評価制度がリモート勤務者に不利にならないかを面接で質問する
  • 雇用形態がSES・派遣中心か自社開発の正社員かを確認する
  • 勤務地が「全国」「地方在住可」と明記されているかを確認する
  • 掲載日が古い求人は応募可否を個別に問い合わせる
圏域雇用型テレワーカーの割合前年度比
首都圏37.5%0.6ポイント減
近畿圏24.4%0.1ポイント増
中京圏19.6%2.4ポイント減
地方都市圏16.8%0.5ポイント増
💡 ここだけ押さえる

国土交通省の調査は就業者全体を対象にした数字で、職種別の内訳は公表されていません。エンジニア職の実際のリモート可否は、この統計を参考値にしつつ、求人票と面接で個別に確認してください。

編集部

地方在住でフルリモート採用に関心を持つ人は多い一方、居住地を離れたくないという人も多いという調査結果があります。移住せずに今の生活を続けたい人には、フルリモート転職が最初に検討すべき選択肢になります。

地方拠点のIT企業へ転職するという選択肢

地方拠点のIT企業で開発するエンジニアのイラスト

フルリモートにこだわらないなら、地方に拠点を構えるIT企業そのものに転職するという選択肢もあります。首都圏の業務を切り出して処理する「ニアショア開発拠点」を地方に設け、地元志向の人材を現地で採用・育成する企業が増えているとされています。受託中心という構造は変わりませんが、拠点そのものが上流工程に関わる体制を目指す企業もあります。

ニアショア開発拠点を置く企業の採用動向

調査会社の分析記事では、地方のIT企業が地元志向の若手人材を現地で採用し、首都圏から切り出した業務を担うニアショア拠点として事業を拡大する動きが強まっていると指摘されています。大手SIerが地方拠点の人員を数年で大幅に増やす計画を示した報道もありますが、これは2021年時点の情報で、その後の進捗は各社の採用ページで個別に確認する必要があります。拠点の規模や担当業務の範囲は企業ごとに差が大きい点に注意してください。

地域限定正社員制度の求人を探す際の確認点

一部の企業は、転勤を前提としない「地域限定正社員」として地方拠点の求人を出すことがあります。求人票だけでは異動の範囲や給与体系が分かりにくいことが多いため、面接で転勤の可能性と昇給の仕組みを具体的に確認することをおすすめします。掲載が終了している求人も多いため、現在募集中かどうかを個別に確かめてください。

  • 首都圏の業務を切り出すニアショア拠点を置く企業かを確認する
  • 拠点が上流工程(設計・企画)に関われる体制かを確認する
  • 地域限定正社員制度がある場合は異動の範囲を確認する
  • 給与体系が首都圏の社員と別建てかどうかを確認する
  • 拠点の採用計画が最新の情報かを採用ページで確かめる
編集部

地方拠点企業への転職は、移住せずに済む場合もあればUIターンを前提にしている場合もあります。募集要項の勤務地と居住条件をセットで確認してから応募してください。

UIターン転職で移住支援金を使う方法

移住支援金を受け取る手続きを表すイラスト

東京圏から地方へ移住して転職する場合、条件を満たせば国と地方自治体が共同で交付する移住支援金を受け取れる場合があります。対象は移住先での中小企業等への就業、テレワークによる移住前の業務継続、地域での起業のいずれかを行う人で、移住元の居住歴にも条件があります。制度の実施有無と金額は都道府県・市町村ごとに異なるため、個別の確認が欠かせません。

移住支援金の対象条件と金額

内閣府の公式情報によると、移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に在住または東京圏に在住して23区へ通勤していたことが条件とされています。さらに直近1年以上は23区での居住または通勤が必要で、金額は世帯で100万円以内(18歳未満の帯同者1人につき最大100万円を加算)、単身で60万円以内の枠内で都道府県が設定します。古い金額のまま更新されていない紹介記事もあるため、申請前に移住先の公式情報で確認してください。

自治体の転職フェア・移住相談窓口の活用

移住支援金の対象となる求人は、自治体が運営する職業紹介サービスや移住相談窓口を経由して紹介されることが多くあります。自治体が主催するITエンジニア向けの転職フェアでは、参加費や履歴書が不要で、東京会場とオンラインの両方で開催される例もあります。具体的な仕組みはGO島根ITエンジニア転職フェアを解説した記事で確認できます。

  • 移住直前10年間で通算5年以上の東京23区在住・通勤歴があるか確認する
  • 直近1年以上の23区在住・通勤歴があるか確認する
  • 移住先での就業・テレワーク継続・起業のいずれに当てはまるか確認する
  • 移住先の都道府県・市町村が制度を実施しているか確認する
  • 自治体の転職フェアや移住相談窓口で求人情報を確認する
項目内容
移住元の条件移住直前10年間で通算5年以上、直近1年以上は東京23区在住または23区へ通勤
移住先での活動中小企業等への就業、テレワークによる業務継続、地域での起業のいずれか
支給額の上限世帯100万円以内(帯同する18歳未満1人につき最大100万円加算)、単身60万円以内
⚠️ 注意したい点

移住支援金の上限額は内閣府が示す枠であり、実際の支給額や対象求人の範囲は移住先の都道府県・市町村が個別に設定します。古い金額のまま紹介している記事もあるため、申請前に移住先の公式ページで最新情報を確認してください。

地方と都市のエンジニア年収を比較する視点

地方と都市の年収を比較しながらキャリアを考えるイラスト

「地方に転職すると年収が下がる」という話をよく見かけますが、エンジニア職に限定した都道府県別の公的統計は確認できませんでした。転職メディアが示す「東京◯◯万円、地方◯◯万円」という具体額は、元になる統計表との対応が確認できないため、本記事では事実として扱いません。年収を比べる際は、出典のある全国統計と、自分が応募する求人票の年収レンジを分けて見る必要があります。

公的統計で確認できる地域差と限界

厚生労働省の賃金構造基本統計調査には都道府県別の集計表がありますが、エンジニアに近い職種区分「ソフトウェア作成者」と都道府県を掛け合わせた最新の数値は、本記事の調査では一次資料から直接確認できませんでした。確認できているのは、令和6年調査でソフトウェア作成者の全国平均年収が574万1200円(企業規模10人以上)という全国の数字のみで、都道府県別の値ではありません。中央値を含めた詳しい確認方法はエンジニアの年収中央値を確認する方法を解説した記事にまとめています。

生活費を差し引いた実質の年収で考える視点

年収の名目額だけで比べると、地方は低く見えがちですが、住居費や通勤費の差を考慮すると実質的な負担は変わってきます。同じ予算でも地方では広い住居を確保しやすいという指摘があり、名目の年収差がそのまま生活水準の差になるとは限りません。求人票の年収レンジと、想定する居住地の生活費を合わせて比較することをおすすめします。

  • 出典のない「東京◯◯万円、地方◯◯万円」という数字をそのまま信じない
  • 全国統計の平均値か中央値かを区別して見る
  • 応募する求人票の年収レンジを個別に確認する
  • 住居費・通勤費など生活費の差を含めて実質の負担を考える
  • 同じ契約形態・経験年数で比べられる数字かを確認する

選択肢別に見る「向いている人・向いていない人」の見分け方

3つの選択肢を比べて選ぶイラスト

ここまで紹介したフルリモート転職・地方拠点企業への転職・UIターン移住支援金の3つは、優劣ではなく状況によって向き不向きが変わります。移住したくないか、どの程度の移住ならよいか、キャリアの幅をどこまで求めるかという3つの軸で考えると、自分に合う選択肢が見えやすくなります。次の2つの小見出しで、それぞれ向いている人の特徴を整理します。

フルリモート型が向いている人

今の居住地を離れたくない人、すでに実務経験があり自社開発企業の選考を通過できるスキルがある人は、フルリモート転職が最初の選択肢になります。地方在住で週3回以上テレワークをしている人を対象にした調査では、約8割が都市部企業のフルリモート採用に関心を示す一方、約7割は居住地を離れることに抵抗があると回答しています。この結果からも、移住せずに済む選択肢への需要は大きいと読み取れます。

地方拠点企業・UIターン型が向いている人

生活コストを下げたい、地元や縁のある地域で長く働きたいという人には、地方拠点企業への転職やUIターン移住支援金の活用が選択肢になります。一方でキャリアの幅を大きく広げたい人は、受託中心の案件構成に物足りなさを感じて転職を後悔するケースもあると解説されています。応募前に、拠点が上流工程に関われる体制かどうかを確認することが後悔を減らす手がかりになります。

選択肢年収への影響向いている人
フルリモート転職都市部企業の基準で決まりやすく下がりにくい傾向居住地を離れたくない、実務経験がある人
地方拠点企業への転職拠点独自の給与体系になることが多く要確認地元で長く働きたい、生活コストを下げたい人
UIターン移住支援金の活用支援金は一時金で給与水準そのものは変わらない移住先が決まっている、起業や地域就業を考える人
編集部

3つの選択肢は併用もできます。まずフルリモートの求人を探しつつ、見つからない場合に地方拠点企業やUIターンの移住支援金を検討するという順番で動く人も少なくありません。

よくある質問

地方在住のままエンジニアとして転職できますか

可能です。都市部企業のフルリモート求人に応募する方法と、地方拠点を持つIT企業に転職する方法の2通りがあります。求人サイトで「フルリモート」「地方在住可」といった条件を絞り込み、出社頻度や評価制度を面接で確認することが実際の進め方になります。移住を前提にしない場合は、まずフルリモート求人から探すのが一般的です。

地方のエンジニア求人は本当に少ないのですか

求人の絶対数が都市部より少ない傾向があるのは確かですが、ゼロではありません。国土交通省の調査では、テレワーク実施率に首都圏と地方都市圏で約20ポイントの差があり、求人の見つけやすさにも差があることがうかがえますが、この数字は業種を問わない就業者全体の調査です。エンジニア職に絞った求人数の公的統計は見当たらないため、転職サイトでの実際の検索結果も合わせて確認してください。

移住支援金はどんな人が対象になりますか

移住直前の10年間で通算5年以上、直近1年以上は東京23区に在住または23区へ通勤していた人が対象です。移住先で中小企業等への就業、テレワークによる業務継続、地域での起業のいずれかを行うことが条件で、金額は世帯100万円以内、単身60万円以内の枠内で移住先の都道府県が設定します。実施有無や金額は自治体ごとに異なるため、移住先の公式情報で確認してください。

地方に転職すると年収は下がりますか

一律に下がるとは言えません。都市部企業にフルリモートで雇用される場合は、都市部の給与水準が基準になりやすく下がりにくい傾向があります。一方で地方拠点企業に転職する場合は、拠点独自の給与体系になることが多いため、求人票の年収レンジを個別に確認する必要があります。エンジニア職に特化した都道府県別の公的統計は確認できていないため、出典のない比較額をそのまま信じないことが大切です。

地方拠点のIT企業はどうやって探せますか

転職サイトで「ニアショア」「地域限定正社員」といった語を含めて検索する方法と、自治体が主催する転職フェアや移住相談窓口を使う方法があります。自治体主催の転職フェアは参加費や履歴書が不要な場合が多く、首都圏在住のまま地方企業の求人情報を集められる利点があります。気になる企業が見つかったら、拠点が上流工程に関われる体制かを採用ページや面接で確認してください。

まとめ

地方でエンジニアの求人が少なく感じられる背景には、受託開発中心の案件構成とスキルのオーバースペック化という2つの構造があります。移住せずに転職したいならフルリモート求人、地元で長く働きたいなら地方拠点企業、移住先が決まっているならUIターン移住支援金という3つの選択肢を状況に合わせて検討してください。年収については出典のない比較額を信じず、全国統計と求人票の年収レンジを分けて確認することをおすすめします。